SEの育成で心がけることは、将来管理職に転向できるようなスキルを身につけてもらうことです。単なる技術屋で終わらせないようにすることが大切です。技術偏重で育成することは、直近では企業の役に立つ便利な人材にはなります。けれども、プログラム言語も技術も常に進化する中で、新しい技術を携えた人員を使うとなればどうしても吸収力の高い若い人材が必要です。そのため、経験を積んだSEには管理を任せる場合が多く見られます。
それゆえ、早い段階で管理業務に必要となるスキルも備えるように指導する必要があるのです。またプロジェクトをまとめるリーダーには、実に多彩なスキルが求められます。無駄なくプロジェクトを進行させるためですが、多くの開発企業ではそのような人材教育を行っていないために苦労しています。クライアントの要望を的確に引き出すことができず、適切な予算組みができないわけです。その結果、必要な開発メンバーを集めることも、システム設計を作ることもできなくなってしまいます。
そのような事態を防ぐためにも、将来の管理職を育てる目的でSEの育成を行う必要があります。また自分で常に勉強するような習慣を身につけさせることも重要です。与えられた仕事のみに取り組むのではなく、自分で課題を見つけ出して取り組むことができるような人材に育てることが大切です。そうすることで、課題を出さずとも自分でスキルを高めていけるSEとなる可能性が高くなります。
SEの育成で難しいのは、いかに普段の業務の中で指導をするかということです。多くの企業はプロジェクト遂行のための人員確保にも苦労しています。そして自社のSEにはどんな案件でもこなせるように、基礎的なスキルを教えることになります。ですが、それに反して難しかったり急ぐ必要があったりするプロジェクトの場合、外部の人材を一時的に雇うことが多くあるのが現状です。
そのためなかなか自社のSEには新たなスキルを指導する余裕がなく、それがきっかけでキャリアアップができないと踏んで辞めてしまう人材も多いものです。けれども本質的に、そのようなハードなプロジェクトを組まざるを得ないのは、有能なリーターを育成できないためでもあります。SEの育成では、管理職としてのスキルを身につけさせることも大切なのです。ただし、SEに管理職としてのスキルを教えるためには難点もあります。
多くのSEは職人としての技術磨きを望むものであって、管理職を望まないという傾向があるのです。SEとして有能な人材であるほどにこの傾向は強く、それはある意味デメリットともいえます。けれども企業、ひいてはIT業界では有能なリーダーを必要としています。そこでまずは、管理職としてのスキルの必要性を理解してもらうことが大切になります。自分の将来のキャリア形成につながるものであることを伝えるわけです。その上で、コミュニケーション能力をはじめとしてプロジェクトのマネジメントをするために大事なスキルを教えることが重要です。